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…これぐらいはやらないと色んなヒトにもうしわけなさすぎ!
という事で頑張ってみました。
なるちょ生誕祝いSS。
遅筆で間に合わなかった…!(泣)
まぁ、書き始めたのが遅すぎたんですが。
予定より長くなってびっくり。
というか、確か今日だったはず(寝てないので気分はまだ10日)というおぼろげな記憶で頑張りました。…違っていたら恥すぎる!(笑)


さて、以下がその作品です。続きよりどうぞ★




希うものは、いつだって、本当は傍にある






明けの空を待って
 流れる星に願いを掛けて







流れ星を見よう!
そんな、いのの願いを叶えるべく、三人で山へと向かった。
ちなみに、お願い、という可愛らしいものではない、あれは脅迫だというのがシカマルの疲労感に溢れたツッコミが聞こえたが、同意したくともいののギロリとした視線に気づいてナルトはそ知らぬ振りをすることにした。

深夜のしんと静まり返った時刻。
聞こえるのは小さな夜行性動物たちの起こす音と自分たちの息遣いだけだった。
ナルトがこうして深夜に出掛けることは珍しくもなんともない。
忍として夜間の活動は闇に溶け込むことができて好都合な時間帯だからだ。
取分け、暗部としてその正体を隠すナルトにとっては夜は一番の活動時間だ。
まるで昼と変わらぬ頼りなさなどないしっかりとした足取りであの場所を目指す。
極秘な行動な訳ではないし、未だ禁忌の森と呼ばれるこの山に誰かが不要に立ち入ることは無いのでこそこそとする必要はなかった。
けれど、それでも夜の静寂を打ち破らぬように、昼間の騒がしさとは無縁のようにぱつりと交わされる会話は少なく静かだった。
そういえば、こうして三人だけで集まるのは久しぶりだという事に今更ながらにナルトは気がついた。
ここ最近はとても忙しく、目の回るような忙しさで、片腕であるシカマルはともかく、いのは色々と別起動で動いて貰っているので会えていなかったのだ。
一緒にいたシカマルだって、話す内容は主に仕事関係のことばかりで他愛の無い気の抜けたような会話など碌にできていなかった。
そんな事に今頃気づいた自分に思わず苦笑が漏れてしまったのは仕方がないことだろう。

三人の先頭を行くのはいのだ。
意気揚々と、きっとこのメンバーの中で一番元気ではりきっている彼女の背に流れる薄い金髪の長いしっぽがまるで彼女の心を表すようにゆらりと楽しげに揺れている。
時折、後ろを振り返っては、しっかりと逃げずに着いてきているかを確認する辺りが今回の意気込みを感じさせられて、とっくの昔に今回付き合わなければならないことを諦めていたナルトは苦笑するしかない。
そのナルトの背後にはシカマルがうんざりとした表情を隠す事無く着いてきている。
どこか疲労が見えるその顔は、ここ数日連夜、暗部の任務と最近激増した表の任務が続いていたからだろう。
もっとも、それは相棒であるナルトとて同じことで、寧ろナルトの場合、立場的にもっと忙しいのだが、ナルトの場合は腹の中に宿す九尾が大きな力を与えてくれるので然程疲労は溜まっていない。
なにも疲労を抱える体を引きずってまで着いてくるような無理をすることはないのだが(しかも、中身は他愛も無いものだ)、シカマル曰く、二人っきりにするのはお前の身が心配だという事でこうして着いてきている。
……まぁ、その理由はともかく、喧嘩が絶えない二人に囲まれる状態では色々とナルトの精神は疲労する一方だ。
幸いにも、今は静かな戦いの為に一触触発状態のまま済んでいるが、それもいつまで持つのか…。


「――しかし、なんだって今日なんだ?流星群が来ているわけでもないってばよね?」
「確かに。一晩中待っても見れない確立の方が断然高いな」
「何だ、それ。……いの、何かの本でも読んで影響うけてないってば?」
「失礼ね!受けてないわよ!」


じゃぁ、何故に?という自然なその問いにいのはうぐっと気まずげな表情を浮かべた。
…何か言いにくい理由があるのはこれで決定だ。


「もうっ、なんだって良いじゃない。早く行くわよ!こうしている間にも流れちゃう可能性だってあるんだから」


呆れた表情をするナルトにいのの目が若干鋭く尖る。
これ以上つっつけばいのが逆切れするのは目に見て取れたので、ナルトはシカマルとちらりと視線を交わし、仕方がないと笑って、はいはいと答えて歩みを進めた。








そこはかつて白い花を咲かせる樹がぽっかりと森が明いた場所に一本あって年中、散る事無く咲き乱れていたところだった。
けれど、今はその樹は自然の断りのままに咲いては散ってを繰り返していた。
この樹の周囲は少しだけ広い空間が出来ていて、森の中だというのに空がよく見える。
確かに、格好の星見スポットといえるだろう。
ナルトが樹をそっと撫でながら、静かに見上げた夜空には美しい数多な星たちが輝いていた。


「見えるかな…」


ぽつりと零れた問いにいのは、ようやく興味をもってくれたようね?としたり顔で、そして嬉しそうに笑う。


「ここまで付き合わされた身の上としては、そりゃ見えた方がいいに決まってるだろうが」
「あんた、ちょっと五月蝿いわよ。黙ってなさい!」
「それは俺の台詞だぜ」


静かな空気がこうして突然破られるのは何時ものことだ。
若干、やっぱりかという遠い目をしながらも、諦めの境地に達しかけているナルトは静かに、そして冷ややかに二人のその争いを終焉させる。
もうこうする事に手馴れてしまった自分がちょっと空しい。
とりあえず、反省させる意味を混めて、術を発動させて二人の動きを地に縫いとめ(影縛りの応用術だ)序にその口も閉ざした。
恨みがましいその二人の視線をしれっと無視してナルトは一人樹に凭れながら空を見上げる。

秋虫の鳴き声
少し寒い外気
星々の仄かな灯

それは少しだけ物悲しく、けれど、がらんどうのような空しさを感じていない自分に気づく。
きっと、以前の自分だったら、虚ろにここでぼんやりと何も考えず過ごしていたに違いない。
いや、寧ろ、この世の中を、自分を嘲笑っていたかもしれない。

――変わっていっている

自分の感情の変化がこうしてここにいるとよくわかるようだった。
その理由は明確で、ちらりとそれを見れば互いに視線でにらみ合い、こうなった原因を押し付けあっているようで、あぁこいつらは本当に、と頭を抱えたくなる気分に襲われるが、同時に酷く愉快な気分にさせられた。
こうして他愛も無い事の積み重ねが、こうして自分を変えているのだ。
ぼんやりと、夜空の美しさを眺めていると、芳しい花の香りが一瞬したような気がして、はっと凭れかかっていた樹を見回した。
間違いなくそれは、花の香りだった。
それも、ナルトが間違えるはずのない、この樹の白い花の香り。
けれど、今は咲かないはずの時期で、散るようになったこの花の香りがするはずもない。
どうして?なぜ?
逸る気持ちを抑えながら、けれど冷静に見回した。
すると、シカマルやいのまでもが目を見張り、自分の方…詳しくはそれよしも少し上を見ていて、何事かと釣られるようにナルトはその視線を追った。
序に何かあってはまずいと術を解くことも忘れない。


「――…え」


不味いことではない。
そんな事じゃない。
けれど、それはナルトの心を酷く揺さぶる光景で。


樹に一枝、小さな美しい白い花が咲いていた。


「どう、して……」


特別な花だ。
白い、まるで雪みたいなキレイな花。
ナルトを慰めるようにして咲き続けた、やさしいナルトの大切なモノの代わりにずっと居てくれた花で。

けれど、ナルトの決別と共にあるべき姿に戻ったはずだった。
だから、今は咲くはずないはずだった。
なのに、
それなのに…


「あぁ、やっぱり」
「本当にタイミングを逃さねぇよな、この樹は。一番いいとこ持っていく」


悔しそうに、けれど優しい二人の声にナルトは困惑に索迷しかけた思考を戻し、二人を見た。


「どう、いう…?」


その問いに、二人はやっぱり、といったような呆れたような表情を浮かべる。
けれど、馬鹿にしてはいない。
そこの在るのはやっぱり優しい感情で。


「ナルトらしいって言えばナルトらしいな」
「本当。憎らしいぐらい聡い癖に、こういうところは酷く鈍感だもの」
「――だから、どういう」


どういう意味なのだと、若干、動揺からくる苛立ちを隠せずに問おうとしたが、その言葉は最後まで言う事ができず、打ち切れられた。
優しく、甘く、笑みを浮かべた二人の表情。
齎された言葉に、心は熱いものを感じる。


「「誕生日おめでとう、ナルト!」」


あぁ、とそれでようやく全てを納得したのだ。
日付を跨いだのだろうこの時刻は、確かに自分の誕生日だった。
里の変わってきた自分への対する空気と、そして忙しさに追われてすっかりと忘却していたのだ。
その日を一緒に迎えようと、いのが計画し、それに気づいたシカマルは遅れを取るわけにはいかないと着いてきたのだろう。
つまり、若干機嫌が悪かったのは自分の計画ではないからだ。
なんとも、シカマルらしくいのらしい。
そして、この一輪だけ咲いた花は、樹がくれた自分へのお祝いの贈り物なのだ。
本当に、なんと言えばいいのだろうか、この沸き立つ感情を。


「…ありがとうだってば」


演技ならば簡単なのに、本来の自分ではなかなか難しい感情の吐露。
拙い、数少ない表情と言葉しかナルトは持ってはいない。
けれど、精一杯、この愛しい存在達に笑みを零す。
それを受けて、笑い返す彼等の笑みの方がきっと何倍も美しいのだろうけれど。


「さて、頑張って流れ星を見つけるわよ!」
「…理由づけじゃなく?」
「何言ってるの。全部本気の発言よ。…夢は自分で叶えるものだけれど、まず最初に強く願う事はその夢の実現に向けた第一歩だもの。今のナルトに、そして私達にだって必要でしょう? 大丈夫、ナルトの誕生日だもの。きっと見えるわよ」
「確かに。…しかし、いのの意見聞いてたら、なんとなく今日なら見えそうなきがしてきたぜ」
「シカマル、お前まで何言ってるんだ。どう考えてもむちゃくちゃな自信の根拠だろ、それってば。 ――でも、うん、確かに偶には星に願いをかけてみるのも悪くは無いってばね」
「でしょう?」


虎の意を得たとばかりに満足げに笑ういのに、調子に乗るなとやや渋い表情を浮かべるシカマル、そんな二人を見つめながら、何を願おうかなと考える。
幾つか思い浮かべて、そして残った一番強い願いを、目には映らなくともこの広い世界のどこかの夜空で流れているかもしれない星に祈った。





――この先、彼らが、自分達が悲しみに暮れない、優しい世界を







fin.





ナルト誕生日祝福SS。突発的に書いてみました。ネタはシカマルいのシリーズの「色の名前~」後日で。去年は酷くしんみりだったので少し明るめに。それでもしんみりなのは誕生日の状況が状況なのでしかたがないのでしょう。ううう(涙)
やっぱり三人でがやがやは楽しいです。

感想、いつでもお待ちしております(笑)
尚、この小説は一定期間を得ましたら企画物へと収納するかもしれません。今のところその予定。よろしくです。
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 少女漫画好きにも関わらず、恋愛要素ばかりだとすぐ飽きる。少年漫画は勢いがないと途中で飽きる。実は、医療・美術・美食漫画が好き。知識が増えるっていいよね!ホラー系もいけるが退治されないものは怖くて読めない(笑)
 BLも好きだが女の子も好きな為にいったりきたり。つか、主人公が好きなんだよ!だから女主人公の場合でBLなんて考えれるわけないだろ!と言い張る人。
 口癖は「頑張れ、自分!」…空しい。
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